2025年9月14日(日)に放送されるフジテレビの人気ドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』。今回のテーマは「ギャンブルをやめたくて ~また 家族と暮らしたい~ 前編」です。
ギャンブル依存症という深刻な問題に直面した人々の「再生の物語」を追うこの回では、新宿区にあるギャンブル依存症回復施設「東京グレイス・ロード」に焦点が当てられました。
番組では特に「ケンタ」と「アキ」という二人の入所者に密着し、彼らがどのように依存症と向き合い、人生を立て直そうとしているのかが描かれます。
この記事では、放送内容を振り返りつつ、「ケンタとアキとは何者なのか」、そして「東京グレイス・ロードとはどんな施設なのか」を詳しく解説していきます。
ギャンブル依存症とは?止められない苦しみ
ギャンブル依存症は、厚生労働省でも精神疾患の一種として認定されており、「やめたくてもやめられない」という特徴があります。本人の意思の弱さではなく、脳の報酬系に深く作用する病気です。
番組でも紹介されていたように、ギャンブル依存に陥ると以下のような問題が発生します。
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生活費や貯金をギャンブルに費やす
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借金を繰り返す
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家族や友人との関係が崩壊する
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仕事や社会生活に支障をきたす
「やめなければ生活が破綻する」と分かっていても、自分の力だけでは抜け出せないのが依存症の怖さです。
東京グレイス・ロードとは?
番組の舞台となった「東京グレイス・ロード」は、新宿区西新宿にあるギャンブル依存症回復施設です。正式名称は「グレイス・ロード東京センター」で、一般社団法人が運営しています。
特徴
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入所者は30人前後、全員が男性
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年齢層は20代~40代
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元警察官、元金融業者、会社員などバックグラウンドは様々
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厳しいルールの下で共同生活
- ギャンブル禁止
- 飲酒禁止
- スマホ禁止
依存対象から距離を置き、規律ある生活を送ることで回復を目指します。
プログラムの内容
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グループミーティング:互いに過去の経験や悩みを語り合い、共感力や自己理解を深める
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ボランティア活動:清掃や地域イベント参加などを通じ、社会とのつながりを取り戻す
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調理実習やスポーツ:規則正しい生活と仲間との協力を学ぶ
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精神科病院との連携:専門医のサポートを受けながら無理なく回復を進める
最初のステージは13カ月と長期間にわたり、焦らず依存症と向き合う仕組みになっています。
ケンタとは何者か?
番組に登場するケンタ(仮名・32)は、自動車工場で働いていた男性です。
彼はギャンブルにのめり込むあまり、昼休みに妻の作った弁当を食べることすらなくなり、帰り道に車の窓から捨ててしまうほどでした。家庭を顧みることなく依存にのめり込んだ結果、多額の借金を抱え、妻や子との関係も壊れていきます。
そんな生活を断ち切ろうと、ケンタは東京グレイス・ロードに入所しました。妻は施設の費用や債務整理のための弁護士費用まで準備し、夫を支えていました。しかし入所から1年後、弁護士費用が支払われていないことが発覚します。
「もしかして見捨てられたのではないか」という不安が、ケンタを再び苦しめ始めます。
ケンタの物語は「家族の絆を取り戻せるのか」という大きなテーマを象徴しています。
アキとは何者か?
もう一人の注目人物が、施設の寮長を務めるアキ(仮名・25)です。若くして依存症に苦しみながらも、仲間からの信頼を集め、リーダー的存在として施設を支えています。
アキは「ギャンブルを断ち切り、再び実家の家族の元へ帰る」と誓っていました。しかし、ある日突然、実家が売りに出されたことを知ってしまいます。
帰る場所を失うという現実に直面し、彼の心は大きく揺さぶられます。
「回復」と「社会復帰」が必ずしもスムーズに進むわけではないことを、アキの物語は示しています。
東京グレイス・ロードの社会的役割
東京グレイス・ロードは、2024年9月に東京都の「指定自立訓練(生活訓練)事業所」として認定されました。これは、ギャンブル依存症からの回復を社会的に支援する制度の一環です。
意義
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依存症経験者がスタッフ:全員が当事者であり、入所者に寄り添える
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共感を重視:同じ経験を持つ仲間同士だからこそ分かり合える
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社会復帰のためのステップ:就労訓練や自助グループ参加を通じて再出発を後押し
依存症は一人では克服が難しく、家族のサポートだけでも限界があります。こうした専門施設の存在は、社会全体にとっても重要な意味を持ちます。
まとめ
『ザ・ノンフィクション』で描かれた「ケンタ」と「アキ」の物語は、ギャンブル依存症の現実を赤裸々に映し出しています。
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ケンタは家族の支えを信じながらも、不安と葛藤を抱え続けている
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アキは仲間を導く存在でありながら、自分自身も帰る場所を失う危機に直面している
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東京グレイス・ロードは、依存症回復のために厳しいルールと温かい仲間の存在を提供する場である
「依存症から抜け出せるのか」「家族と再び暮らせるのか」――。視聴者にとっても胸を打つテーマであり、依存症は誰にでも起こり得る身近な問題だと気づかされます。
ギャンブル依存症は決して「意志が弱い」からではなく、治療と支援が必要な病気です。東京グレイス・ロードのような施設や、仲間の存在があれば、人は再び立ち上がることができるのです。
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