2025年夏の甲子園、岐阜県立岐阜商業が16年ぶりにベスト8へ進出しました。
その中心にいたのが、背番号9を背負う外野手・横山温大選手です。彼は生まれつき左手に指がないというハンディを抱えながらも、仲間に支えられ、そして何より自らの努力でレギュラーの座を勝ち取りました。
スタンドには両親の姿もあり、母・尚美さんは「ここまできたので優勝目指して頑張ってほしい」、父・直樹さんは「元気でやってもらえれば勝ちに繋がる」とエールを送りました。
彼の物語は、野球ファンだけでなく、多くの人々の心を震わせています。
本記事では、横山温大選手がどのようにして野球と出会い、小学校・中学時代にどんな葛藤を乗り越えてきたのかなどを詳しく掘り下げていきます。
横山温大のプロフィール
-
名前：横山 温大（よこやま はると）
-
学校：岐阜県立岐阜商業高等学校（3年生）
-
ポジション：外野手（ライト・レフト）
-
背番号：9番
-
家族構成：3人きょうだいの末っ子
-
特徴：生まれつき左手の指がないハンディを抱える
幼少期：野球との出会いと心の葛藤
横山選手は、野球をしていた兄や姉に憧れ、自然と野球に興味を持つようになりました。
小学校3年生の頃、地元のスポーツ少年団に入り、最初は義手をつけて練習していました。
しかし、その背景には幼いながらも深い葛藤がありました。
母・尚美さんによれば、幼稚園のころ、横山選手は「小学校に行ったら、みんなと同じ手になるんだよね？」と純粋な気持ちで問いかけていたといいます。
この言葉は、子どもながらに自分の身体の違いを理解しつつも、「普通になりたい」という切実な願いが込められていました。
母親は当初、「野球はできないんじゃないか」と心配したものの、息子の強い思いと努力を前に、その不安は次第に誇りへと変わっていきました。
小学校時代：仲間と共に成長
スポーツ少年団に入った横山選手は、周囲の指導者や仲間からアドバイスを受けながら、「みんなと同じように両手を使えるように」と工夫を重ねました。
グローブの使い方やバットの握り方など、普通なら当たり前にできることを一つひとつ時間をかけて習得しなければなりませんでした。
それでも彼はあきらめず、仲間と共に練習を続けることで、少しずつ自分のスタイルを確立していきました。
中学時代：江南ボーイズでの挑戦
中学時代は、愛知県の強豪「江南ボーイズ」に所属しました。代表の住藤重光氏は、当時の横山選手について「家に帰ってからもかなり練習していた。指がないのでバットをしっかり握れない。それでももくもくと努力を続けていた」と証言しています。
特にバッティング面では、普通の選手以上の課題がありました。高校に進めば球は速く重くなるため、強豪・岐阜商業でレギュラーを取るのは難しいのでは、と周囲から見られていたのです。
しかし横山選手はその予想を覆し、努力と工夫で結果を残しました。代表は「彼は本当に頑張っている」と心からの賛辞を送っています。
父との二人三脚
横山選手がここまで成長できた背景には、父・直樹さんの支えがありました。
毎日の練習に付き合い、「人よりも練習をやらなきゃいけない」という教えを息子に伝え続けたのです。
この言葉は横山選手の人生哲学の核となり、困難に直面したときの原動力になりました。父の存在は、彼にとって最大の理解者であり、最大の支えでもあったのです。
高校時代：岐阜商業で掴んだレギュラー
岐阜県立岐阜商業といえば、全国的にも名の知れた強豪校。
ここでレギュラーを取るのは、ハンディを抱える横山選手にとって決して簡単な道ではありませんでした。
それでも彼は地道な練習と努力を重ね、ついに背番号9を背負うレギュラー外野手に成長しました。
甲子園の舞台で堂々とプレーする姿は、多くの人に勇気を与えています。
横山温大選手の魅力と今後
横山選手の魅力は、単なる技術の高さではなく「諦めない心」にあります。ハンディを言い訳にせず、努力で乗り越えた彼の姿は、同じように困難を抱える人々にとって大きな希望となっています。
今後は大学野球、さらにはプロの舞台を目指す可能性も十分にあります。たとえ進路がどうであれ、彼の歩みは必ず誰かの心を動かすことでしょう。
まとめ
横山温大選手は、生まれながらに左手の指がないという逆境を背負いながらも、小学校時代の努力、中学時代の挑戦、そして高校での飛躍を経て、ついに甲子園の舞台で輝きを放ちました。
幼少期の「小学校に行ったら、みんなと同じ手になるんだよね？」という言葉に象徴されるように、彼は常に葛藤を抱えながらも夢を追い続けてきました。その姿は、私たちに「困難があっても挑戦することの尊さ」を教えてくれます。
岐阜商業のベスト8進出とともに、横山温大選手の物語はこれからも多くの人々に勇気と感動を届けていくに違いありません。
コメント