広島県でまたしても高齢者を狙った悪質な詐欺事件が発生しました。
「給湯器にメーカー保証をつけませんか？」という一見もっともらしい言葉を使い、女性たちから現金をだまし取ったとして、広島市南区に住む自称・会社役員の長尾崇義容疑者（33）が再逮捕されました。
給湯器やリフォームなど、住宅関連を装った詐欺は全国で増え続けています。
この記事では、長尾容疑者の顔画像や会社 事件概要や犯行手口、勤務先とされる会社との関係、そして見えてくる動機や背景について詳しく見ていきます。
長尾崇義容疑者が逮捕！「給湯器の保証」で高齢女性をだます
広島県警によりますと、長尾崇義容疑者は2025年6月と7月に、広島市や府中町に住む70代の女性2人の自宅を訪れ、「給湯器にメーカー保証をつけませんか」「今後10年間は修理が無料になります」と虚偽の説明をして、現金を受け取った疑いが持たれています。
被害額はおよそ3万円から4万2000円。金額としては少額かもしれませんが、被害者はいずれも高齢の一人暮らし女性であり、心理的なダメージは大きかったとみられます。
警察の発表では、長尾容疑者は「詐欺ではなく、仕事としてやった」と容疑を否認しているとのことです。
しかしながら、調査の結果、彼がすでに以前勤務していた給湯器関連の会社を退職していたことが明らかになっています。つまり、正式な業務としての訪問ではなく、個人的な詐欺行為だったと考えられています。
「以前の勤務先で工事を担当」──信頼を利用した巧妙な手口
この事件のポイントは、長尾容疑者が以前の勤務先で実際に被害者宅の給湯器を設置していたことです。
つまり、被害者たちにとっては「以前工事に来たあの人」だった可能性が高いのです。
高齢者にとって、過去に対応してくれた業者というのは信頼できる存在です。
その“安心感”を逆手に取り、虚偽の保証話を持ちかけていたとみられます。
また、「給湯器の保証延長」や「ローンが残っている」など、一見正当な説明に聞こえる内容だったことも犯行の特徴です。
住宅設備に詳しくない一般の方にとっては、真偽の判断が難しく、被害に遭いやすい状況でした。
すでに別の詐欺事件でも逮捕されていた
さらに調べを進めると、長尾容疑者は今回の事件より前、2025年8月にも別の詐欺容疑で逮捕されていたことがわかっています。
そのときは広島市東区の男性（83）宅を訪問し、「給湯器のローンがまだ終わっていません」と虚偽の説明をして、現金9万2000円をだまし取った疑いがありました。
こうした経緯を見ると、長尾容疑者は給湯器関連の知識を使って高齢者を狙い、繰り返し金銭をだまし取っていた可能性が高いといえます。
警察は現在、余罪についても詳しく調べを進めているとのことです。
勤務先の会社はどこ？退職後の犯行に注目
報道では、長尾容疑者は「以前勤めていた会社で給湯器の設置を担当していた」とされています。
つまり、犯行当時にはすでに退職しており、会社の業務とは無関係でした。
退職後に顧客宅を再訪し、「保証を延長する」「ローンの手続きが必要」といった名目で金銭を受け取っていたとみられます。
このことから、長尾容疑者は顧客情報を個人的に利用していた可能性があり、情報管理の甘さや倫理の欠如も問題視されています。
実際、住宅設備業界では退職者が顧客情報を持ち出し、独自に営業を行うケースが問題になっています。
今回の事件も、そうした“裏営業”の延長線上にあった可能性が否定できません。
「仕事のつもりだった」と否認 歪んだ正当化の心理とは
「詐欺ではなく仕事としてやった」という供述には、どこか現実から乖離した印象を受けます。
おそらく本人の中では、「サービスを提供している」という感覚があったのかもしれません。
しかし、実際には保証会社やメーカーといった正規の契約関係はなく、受け取った現金も個人的に流用されていたとみられています。
こうした“自己正当化”は、詐欺事件の加害者によく見られる傾向であり、罪の意識の希薄さや金銭感覚の乱れが背景にあると考えられます。
余罪の可能性は？被害拡大の懸念も
警察は今回の2件以外にも、同様の手口で被害を受けた人がいるとみて調べを進めています。
給湯器やリフォームの保証を装った訪問詐欺は、一度成功すると口コミや地域情報をもとに被害が広がる傾向があります。
特に高齢者世帯が多い地域では、「以前も工事に来てくれた人だから」と信頼してしまうケースが多く、被害が表面化しにくいのが現実です。
警察は、被害者が他にもいる可能性が高いとして、広く情報提供を呼びかけています。
広島で続発する訪問型詐欺とその背景
広島県では近年、リフォームや住宅設備に関する「訪問型詐欺」が相次いでいます。
中でも「給湯器」「エアコン」「屋根修理」など、生活に直結する設備を口実にするケースが多く、県警も注意を呼びかけています。
こうした詐欺が後を絶たない理由として、以下のような背景が考えられます。
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高齢化が進み、一人暮らし世帯が増加している
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設備や保証の仕組みが複雑で、理解しにくい
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「訪問＝業者」と思い込み、警戒が薄れる
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インターネットやスマホで情報を調べにくい
つまり、社会全体の構造が詐欺を生み出す温床になっているとも言えるのです。
今後の捜査と社会への影響
長尾崇義容疑者の逮捕は、氷山の一角に過ぎないかもしれません。
警察は引き続き、金銭の流れや関係者の有無など、全容解明を進めています。
今回の事件をきっかけに、住宅設備業界では顧客情報の管理や退職者の情報流出防止がさらに求められるでしょう。
また、高齢者への啓発活動や地域ぐるみの見守りも強化する必要があります。
まとめ：「身近な詐欺」こそ一番危険
「給湯器の保証をつけませんか？」という言葉は、一見すると親切な提案のように聞こえます。
しかし、そこに潜むのは金銭目的の巧妙な罠です。
今回の事件は、見知らぬ業者ではなく“以前関わった人物”が詐欺を働いていた点で、非常に悪質だといえます。
高齢者を狙ったこうした犯罪は、今後も形を変えて続く可能性があります。
もし突然、自宅に業者を名乗る人物が訪ねてきたら、まずは会社名や担当者名、連絡先を確認し、家族や警察に相談することが大切です。
小さな金額でも泣き寝入りせず、必ず通報することで被害の拡大を防ぐことができます。
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