2025年11月4日、宗教家であり旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の元会長を務めた徳野英治(とくの えいじ)氏が、来年3月の任期満了に伴う金沢市長選挙に立候補する意向を固めたことが分かりました。
徳野氏は石川県金沢市出身の70歳で、地元開催となる11月10日に記者会見を開き、正式に出馬を表明する予定です。
旧統一教会の元トップという経歴を持つ人物が地方自治の長に挑戦するというニュースは、宗教と政治の関係が問われる現代社会において大きな注目を集めています。
徳野英治のプロフィールと経歴
徳野英治(とくのえいじ)氏は、1954年(昭和29年)に石川県金沢市で生まれました。
若いころから宗教的関心が強く、1971年に当時の「世界基督教統一神霊協会(統一教会)」に入会します。
大学は富山大学経済学部を卒業。
学生時代から統一教会の学生組織「全国大学連合原理研究会(CARP)」で活動し、のちにCARP責任者となります。
1995年には日本CARP会長に就任し、若者世代を中心に教団の活動を推進しました。
さらに1998年には「日本純潔同盟(PLA-Japan)」の設立に関わり、初代会長を務めています。
この時期から、徳野氏は教団の社会活動・倫理教育運動の中心的な存在として知られるようになりました。
教団トップへの昇進と会長就任
2000年には日本統一教会副会長に就任。
その後、韓国の**統一神学大学院(統一神学校)**に留学し、宗教教育学の修士号を取得しました。
この経験を通じて、宗教教育や信仰哲学を体系的に学び、国際的な指導者層の一人として活動を広げます。
2008年5月16日、徳野氏は日本統一教会の第11代会長に就任。
国内の組織改革や信者教育を進めながら、国際交流や社会貢献活動にも注力していました。
また、同年には一般財団法人国際ハイウェイ財団会長にも就任。
この団体は「世界平和と文化交流」を掲げ、教育・福祉などの分野で活動を行っていました。
しかし、2009年には関連会社「新世」の関係者が特定商取引法違反で逮捕される「新世事件」が発生。
教団に対する社会的批判が強まる中、徳野氏は責任を取る形で会長職を辞任しました。
再登板と政治との接点
辞任後、徳野氏はロシアや中国などの地域で教団活動を監督する立場となります。
その後、2012年12月、当時の会長・梶栗玄太郎氏の死去に伴い、第13代会長として再登板しました。
2013年には政治との関わりも話題となります。
6月30日、安倍晋三首相(当時)が自民党本部で徳野氏ら教団幹部と面会。
比例区から出馬する北村経夫氏の支援要請が行われたとされ、後に報道機関が記念写真を公開し、大きな注目を集めました。
この一件は、宗教団体と政治の関係を象徴する出来事として、のちに多くの議論を呼びました。
その後も徳野氏は「真の家庭国民運動推進全国会議」などの会長を務め、家族・道徳をテーマにした活動を推進。
2020年10月13日には統一教会会長を辞任し、「天議苑苑長」として精神的指導者の立場へと移行しました。
学歴と高校時代について
徳野英治氏の出身高校については公式には公表されていません。
しかし、国立の富山大学経済学部に進学していることから、学力的には石川県内でも上位校に通っていた可能性が高いです。
金沢市には金沢泉丘高校や金沢二水高校などの進学校があり、これらのいずれかの出身と推測する声もあります。
大学卒業後は一般企業や官公庁などに勤めることなく、教団活動に専念。
若いころから宗教運動の中心的立場を歩み続けてきました。
金沢市長選出馬の背景と目的
今回の金沢市長選出馬にあたって、徳野氏は「信仰で培った倫理観や平和思想を市政に生かしたい」との意向を示しているとされます。
出身地・金沢市は伝統と観光を軸に発展を続けており、一方で少子高齢化や人口流出といった課題も抱えています。
宗教的理念をもとにした「家族の絆」「地域コミュニティの再生」といったテーマを訴える可能性が高いとみられます。
ただし、宗教団体との関係をどう説明し、政治と宗教の線引きをどう行うのかが大きな焦点となります。
世間やネット上の反応
徳野氏の出馬報道に対して、インターネットやSNSでは賛否両論の意見が寄せられています。
「宗教団体の元会長が市長になるのは不安」
「宗教は信仰の自由だが、政治とは切り離すべき」
「金沢出身で地元愛を持っている点は評価できる」
「70歳で挑戦するエネルギーは立派」
「宗教家でも透明性があれば応援できる」
統一教会をめぐる報道が過熱してきた近年の社会状況を踏まえると、「宗教家の出馬」というだけで強い反発を受けることもあります。
しかし一方で、「地域貢献」「倫理政治」という側面を重視する層からは一定の理解を示す声も見られます。
金沢市政と徳野氏のビジョン
金沢市は、観光都市としての魅力に加え、教育・福祉・文化の分野で全国的にも評価の高い都市です。
しかし、近年は人口減少や観光依存経済の課題も指摘されており、「新しいリーダー像」が求められています。
徳野氏はこれまで国際平和運動や教育活動を通じて「家庭の再生」「地域社会の調和」を訴えてきました。
宗教家としての視点が、市政運営にどのように反映されるのか注目されています。
もし当選すれば、金沢市政における政策だけでなく、「宗教と政治の共存」という新しい議論が全国的に巻き起こることは間違いありません。
まとめ
徳野英治氏は、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)の元会長として長年にわたり宗教活動を指導してきた人物です。
富山大学経済学部卒業という学歴を持ち、若くして教団に入信。第11代・第13代の日本統一教会会長を歴任し、国内外の信徒を束ねてきました。
その一方で、教団をめぐる問題や政治との関係が過去に取り沙汰された経歴もあり、金沢市長選出馬には賛否が分かれています。
しかし、70歳を迎えてもなお地元の発展を願い、挑戦する姿勢は注目に値します。
今回の金沢市長選は、単なる地方選ではなく、**「信仰と政治の関係をどう考えるか」**という社会的テーマを内包した重要な選挙になると見られます。
徳野氏がどのような公約を掲げ、市民に何を訴えるのか、11月10日の記者会見が大きな節目となるでしょう。
コメント