K-POPブームの立役者として知られるガールズグループ「KARA」の元メンバーであり、日本でも絶大な人気を誇っていたク・ハラさん。
その華やかな芸能人生の裏で起きた壮絶な暴行・脅迫事件が、いまも多くの人々の胸に深い爪痕を残しています。
2018年、元恋人との間に起きたトラブルがきっかけで、彼女の人生は大きく揺らぎました。土下座の理由、リベンジポルノの脅迫、そして元カレの現在の状況まで、事件の真相を改めて整理していきます。
ク・ハラが土下座した理由:元カレの“人生を終わらせてやる”という脅し
2018年9月、韓国芸能界に衝撃が走りました。
芸能メディア『Dispatch』が報じた内容によれば、ク・ハラさんは当時の交際相手であるA氏(後に実名が「チェ・ジョンボム」氏と判明)から、プライベート動画による脅迫を受けたと告白しました。
A氏は、彼女との私的な関係を撮影した動画を彼女のスマートフォンに送り、「芸能生活を終わらせてやる」と発言。その瞬間、ク・ハラさんは女性としての尊厳と芸能人としての立場を守るため、土下座しながら涙ながらに許しを請う姿が、監視カメラに記録されていたのです。
これはただの恋人間のトラブルではなく、明確な“脅迫”行為であり、韓国社会においても「リベンジポルノ問題」の深刻さが一気にクローズアップされるきっかけとなりました。
リベンジポルノによる精神的被害と沈黙を破ったク・ハラ
事件当初、警察への通報内容は「ク・ハラがA氏に暴行を加えた」というもので、加害者として報道される形で始まりました。しかし後日、ク・ハラさん自身がメディアを通じて次のように反論したのです。
「私は確かに彼に傷を負わせた。しかし、彼も私を脅迫した。女性芸能人にとって、これ以上に恐ろしいことがあるだろうか?」
ク・ハラさんは、A氏のスマホから問題の動画を発見し、削除を試みたと話しています。にもかかわらず、A氏は複数の動画を利用して彼女を脅し続けました。芸能人としてのイメージ、女性としての尊厳、そして一人の人間としての自由を奪われることへの恐怖に、ク・ハラさんは耐えきれなかったのでしょう。
元恋人・チェ氏の犯した罪とその後の処分
事件の発端となった暴行については、ク・ハラさんとA氏の双方暴行であることが明らかになりましたが、その後の捜査でA氏の犯した罪の深刻さが浮き彫りになります。
警察が押収したチェ氏のスマートフォンからは、ク・ハラさんの同意なく撮影された私的写真が複数見つかり、明らかに羞恥心を与える内容であったことが確認されました。これにより、性暴力処罰法違反の疑いも適用されることとなったのです。
チェ氏には以下の罪状が科されました:
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傷害
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脅迫
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強要
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財物損壊
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性的暴行処罰法違反(リベンジポルノ)
そして最終的に、**2019年の第一審では「懲役1年6か月・執行猶予3年」**が言い渡されましたが、社会的な批判と控訴審の判断により、2020年7月、懲役1年の実刑判決が下され、法廷で拘束されました。
ク・ハラが事件後に抱えた苦悩と最期
リベンジポルノ被害者として名乗りを上げたク・ハラさん。しかし、世間の風当たりは決して優しいものではありませんでした。
一部のネットユーザーからは「暴行事件の加害者だ」と非難され、誹謗中傷が絶えなかったといいます。心ない言葉に傷つき、精神的に追い詰められた彼女は、2019年5月に自殺未遂を起こします。
一命をとりとめた後、日本でも活動を再開しようと努力していた矢先、2019年11月24日、自宅で帰らぬ人となって発見されました。享年28歳。
ク・ハラさんの最期は、韓国社会に深い衝撃を与えるとともに、リベンジポルノが人の命を奪うことすらあるという厳しい現実を突きつけるものとなりました。
実兄ク・ホインの訴えと「ク・ハラ法」の誕生
ク・ハラさんの死後、実兄であるク・ホイン氏が中心となり、彼女の遺志を継ぐべく動き始めます。
最大の焦点となったのが、母親との関係。長年、音信不通だった実母が突然現れ、遺産相続権を主張したのです。この不条理に対し、ク・ホイン氏は次のように語りました。
「妹が生きていた間、母は一度も連絡をしてこなかった。それなのに突然現れて、お金だけを要求するのは許せない」
これをきっかけに、**「親の義務を果たしていない者が子の遺産を相続する権利はない」**という趣旨の法律改正が求められ、韓国では「ク・ハラ法」が誕生。2020年、国会で可決され、家族関係の在り方を問う象徴的な法律となったのです。
元カレ・チェ氏の現在は?
では、加害者チェ氏の現在はどうなっているのでしょうか?
彼は、2020年の判決により懲役1年の実刑を言い渡され、その後収監されました。判決後の情報によれば、刑期を終えたとみられますが、現在も韓国社会で激しい非難を浴びており、社会復帰は極めて困難な状況にあると考えられます。
ネット上では実名や顔画像が広く出回っており、新たな仕事を見つけることもままならず、消息も不明の状態です。
最後に:ク・ハラ事件が私たちに残したもの
ク・ハラさんの事件は、ただのスキャンダルではありません。
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「被害者が加害者として扱われる怖さ」
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「リベンジポルノがいかに人の心を壊すか」
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「法律の不備が人の尊厳をどう奪うか」
これらを痛烈に世間に示しました。
華やかな舞台の裏で、誰にも言えずに苦しんでいたク・ハラさん。私たちは彼女の悲劇を無駄にしてはいけません。リベンジポルノという名の犯罪に、社会全体がもっと敏感になり、被害者が堂々と声を上げられる社会になることが望まれます。
ク・ハラさんのご冥福を、心よりお祈り申し上げます
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